勉強・受験の順番、受験スタイルについて

勉強方法について

米国公認会計士の挑戦を検討している時期、
勉強を開始したての時期、

具体的にいつ頃の受験を目標にするかは、日々のモチベーションにも関わる重大なテーマになるかと思います。

私の考えでは
初学者は全部勉強してから受験
既に一定以上の会計知識を保有している方は1科目ずつ受験

というスタイルが良いかと思います。

理由を以下に記載します。

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勉強・受験の順番

予備校や個人ブログ等のオススメを見ると大体以下のような順番を推奨している印象です。

FAR→AUD→BEC→REG

私自身も上記の順番で勉強しました。
結果的に良かったと思いますし、もう一度勉強し直すとしても上記の順番で取り組むだろうなと思います。

理由を以下に記載します。

会計の基本は仕訳から

まず、私自身スタート時に会計知識はほとんどありませんでした。
一応証券会社リテール営業でしたのでBS・PLの何となくの見方程度は知っていた、という知識です。
資産費用が左、負債純資産収益が右、くらいの知識です。

そうしたスタートから4科目全てを合格ラインに持っていく為には土台構築が必須です。
そしてこの場合の土台とはやはり財務会計の知識になります。
私が通っていた予備校アビタスの財務会計は当時4冊のテキストから構成されており、2017年7月から2019年9月末でようやく1周しました。

計算科目に疲れてきた所で一旦理論科目を挟む

2科目目はAUDです。正式な科目名は「Auditing & Attestation」で、和訳すると「監査と保証業務」です。
会計士の独占業務である監査についての内容が中心となります。

初学者の場合、FARで大分計算疲れしてると思いますので良い息抜きになると思います。
私の場合、2017年9月中盤~10月末ぐらいで予備校の2冊のテキストを1周しました。
前半、FARの勉強時期と重複していますが、気分転換を兼ねてAUDの勉強にも手を出していました。それだけ初めての財務会計の勉強に疲れていた事を記憶しています。

再び計算科目へ

3科目目はBECです。私が受験した2018年5月~9月の試験範囲でいうと「管理会計等・ファイナンス論・経済学・IT・コーポレートガバナンス」の5科目で構成されていました。

AUDの理論に飽きてきた所に再び管理会計という計算科目が始まります。

その後、管理会計等・ファイナンス論も計算科目ですが、経済学・IT・コーポレートガバナンスは計算要素はほとんどなく、理論科目に近い要素が多いです。

この科目は2017年11月~12月でテキストを1周しました。
昔勉強していた証券アナリストの知識がファイナンス論で、加えて大学時代の知識が経済学で活きたので比較的早いかもしれません。

そしてこの科目には最大の特徴である「英作文」が含まれます。
ネット検索でこの資格を調べると、どうやらこの英作文が最も大きな障壁と感じる受験者が多いようです。

私自身は2回目で合格した科目であり、英作文にそこまで苦手意識はありませんでした。
BECのページ内で各科目・英作文の対応法について記載します。

最後の科目、法律科目へ

最後に持ってきたのはREGです。内容は民法商法が2割、税法が8割といったところでしょうか。

ネット検索してみるとこの科目も障壁となっているケースがあるようです。
「法律、特に比率の高い税法が難しい」との声があるようです。

私は証券会社リテール営業を7年以上勤めており、当時は信託銀行から遺言信託を奪うべく相続税・贈与税に関してはそれなりに勉強し、実務で日々使用しておりました。

実際には日本と米国で相続税・贈与税の仕組は違うのですが、あるキーワードを念頭に学習を進める事で理解が深まりやすいのではないかと思います。


そのキーワードは「御上は国民から税金を取りたがる」という事です。

まずは税法に対する苦手意識をなくしましょう。民法商法は後からついてくるイメージです。
とはいえテキストを1周するのに2018年1月~3月と、私にとって初学であるFARと同じぐらいの時間がかかりました。


テキストも4冊あるのでボリュームは多いです。状況に応じて基本的考え方を当てはめるという作業も本試験では必要になると思います。
だからこそ全て覚えるというより、税の仕組みを理解し、キーワードを身体に叩き込みましょう。

受験スタイルについて

受験スタイルについては大きく2通りあると思います。


①全て勉強し4科目仕上げてから受験を開始する。
②1科目勉強を終える毎に受験し、合格したら2科目目の勉強を開始し、終わったら2科目目の受験という流れを4科目目まで継続する。

私は①の方法を取りました。
①のメリットとデメリットを記載します。

メリット

・合格失効のリスクを少し減らせる
・精神的圧力を少し減らせる

デメリット

・辛い受験勉強期間に一部合格という道標が見え辛く、挫折する可能性が高まる

4科目仕上げてからの受験スタイルについて


メリットの合格失効について説明します。


米国公認会計士(USCPA)試験には一部科目合格の有効期間が存在します。
これによって途中挫折の割合が高いのではないかと個人的には思っています。

例えば日本の税理士試験も科目合格制度ですが一度合格した科目が取り消される事はありません。(2020年7月現在)

内容は「合格確定日から18ヵ月」もしくは「合格確定日が属する月末日から18ヵ月」までに全科目合格しないと当該18ヵ月経過科目の合格が取り消されるというものです。


これは正直きついです。私自身これを味わいたくないが為に4科目勉強してから受験しました。
それでも初合格が2018年9月で、全合格が2019年10月と、13ヵ月が経過しています。

その2018年12月に3科目合格してからでも10ヵ月経過しております。
その10ヶ月の間「合格取消になったらどうしよう」という精神的圧力に追われる日々でした。
もし②の方法を選択していたら恐らく一部科目失効を経験していたと思いますし、より強い精神的圧力に追われていたであろうことが想像できます。

私は証券会社を辞めた後、監査法人に入所し、そこで多くの米国公認会計士(USCPA)に出会いました。
彼らの大半は②の方法で勉強していました。

1科目ずつ受験するスタイルについて

メリット

・1つずつ合格する事で、自分の学習進捗が可視化される為、モチベーションが崩れにくい。
・1科目ずつ勉強に集中出来る。

デメリット

・1科目合格後、18ヵ月後の合格取消のカウントダウンが始まり、プレッシャーとなり得る。
・各科目の複合問題への対応能力が身に付き辛い。
・初学者の多くは、4科目仕上げるのに18ヵ月以上かかる可能性が高い。

1科目ずつ受験についての補足

メリットについては①の方法の逆で、自身が重ねてきた努力が見える事でモチベーションが保たれやすいと思われます。
デメリットは時間との戦いになる事、複合問題に対応できなくなる事です。

今まで出会った②の勉強方法を選択した方々かつ米国公認会計士(USCPA)試験合格者に共通していたのは、すでに簿記2級以上の知識を持っていました。

ですので比較的短期間で合格に繋がったのであろうと推察しております。

そしてこれが、初学者にとって②の方法をおすすめしない最大の理由ですが、

米国公認会計士(USCPA)試験には複合問題が多く出題され、頻度は年々増加しております。

複合問題とはFAR、AUD、BEC、REGの4科目が他の科目にも登場する事です

相性が良いのはFARとBECです。

FARの試験にBECの試験範囲である管理会計の知識が登場したり、BECの試験にFARの棚卸資産の知識が登場したりします。

私が最後に受験したAUDでは、FARに頻出する後発事象の仕訳を切らせる問題や、期末棚卸資産在庫金額の計算問題が登場したことを強く記憶しています。

すなわち、ある1科目の試験内容に、他の3科目の知識が登場し得るという事です。

結論:初学者は4科目仕上げてからを推奨します

以上の理由から、初学者の方・会計知識に自信のない方は①の「4科目全てを勉強してから受験を開始する」方法をおすすめします

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