Research問題の攻略

AUD

2017年から導入が始まったResearch問題

あくまで私見ですが、AUDでは取りこぼすべきではないと思います。
逆にそれ以外では落としても構いませんし、対策も不要かと思っています。

私が考えるResearch問題が重要となるAUDに沿って、傾向と対策を記載します。

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Research問題とは何か

Research問題とはTBS問題の1種として1問 or 2問出題されます。
内容としては、3行から10行程度のシチュエーションが与えられ、
「さて、この状況に最も当てはまる条文を会計基準から選びなさい」
というものです。

大学のテストでいうと、例えば法律科目の試験において六法全書を持ち込むような場面を想定してください。
持ち込んだ六法全書をめくりながら試験問題文中で与えられた状況に当てはまる条文を探し出し、内容を記載する、といったイメージでしょうか。

実際の試験では、上の例での六法全書にあたる資料は電子化されているので試験を受けているパソコンを使用して会計基準を選択します。

いわゆる検索エンジンにキーワードを入力して、表示結果から選ぶ、という流れです。

AUD以外の科目は簡単です。
というよりAUD以外(FAR・REG)だと登場しない事もよくあります。
何かしらの基準書から受験生に選択させる問題なので、FARでは会計基準、AUDでは監査基準、REGでは税務基準がデータベースになっています。
BECではResearch問題は登場しません。

模擬試験や練習問題では簡単です。真面目に学習してきた人なら誰でも出来ます。
しかし、AUDに限っては(日本人にとって)非常に難しいです。

Research問題の例題(AUD)

例えば、以下に例題を考えてみました。

あなたは1年目の会計士で、担当企業が減価償却費の計算方法を変更した事を把握した。企業が減価償却費の計算方法を変更した時に、監査上の対応について留意すべき行動を4つ述べている会計基準の番号を調べて記載せよ

本番ではこんな感じの問題が出ます。勿論、本番では全部英語ですが。

予備校の問題や解説だと、キーワードを入力し検索し、結果の中から正しい条文を選びましょう、といった解説になっています。

例えば私ならキーワードとして
depreciation(減価償却費)」「accounting change(会計方針の変更)」
等を入力します。

これで出てくる検索結果が全く絞れないんですね。

上記例題は適当に作成しましたが、
これに当てはまりそうな条文は最低でも3つあります。

AU-C315、AU-C320、AU-C540

今は気にしなくて構いません。
上記のAU-Cは大テーマです。試験本番では「AU-C315.27」といった書き方をします。

参考までにAU-C315.27は
大テーマ「企業と企業環境の理解及び重要な虚偽の表示の査定」
中テーマ「重要な虚偽の表示の識別と査定」
小テーマ「監査人が中テーマを実行するためにすべき4つの行動」

となっています。(くどいですが、条文は全て英語です)

AU-C315.27は問題文の「減価償却」とは直接的に一致していませんが、
「4つ」というキーワードとは一致しています。
正解か、不正解か。悩ましいですね。

何故悩ましいのか。
英語力、英文読解力の問題です。

例題解説とAUD特有の難しさについて


日本語化していますが、問題文のキラーワードはここです。
企業が減価償却費の計算方法を変更した時に、監査上の対応について留意すべき行動を4つ述べている】

ここについて2つの解釈が出来ます。


①企業が減価償却費の計算方法を変更した時に、監査上の対応について留意すべき行動を4つ述べている
②企業が減価償却費の計算方法を変更した時に、監査上の対応について留意すべき行動を4つ述べている

問題文では、果たしてどちらの太字を意図して聞いているのでしょうか。


日本人の日本語的感覚から言うとほぼ全員が①と答えるでしょう。


何故なら、「わざわざ特定の状況を指し示すために、○○な時に、と記載しているのだから、条文からは減価償却費の計算方法を変更したというキーワードが何より優先されるだろう」と考えますよね。

①の意図を英語にするとこのようになります。


①When a company changes the method of calculating depreciation expense, it describes four actions that should be taken into consideration regarding audit responses.

では②の意図、つまり4つの対応を主軸にする意味としての文章を英語にするとどうなるでしょうか。


②When a company changes its accounting policy, for example, when it changes the method of calculating depreciation expense, it states four actions that the auditor should be aware of regarding the audit response.

もしくは

②When a company changes its accounting policy, as if the company changed its depreciation calculation method, There are four actions that auditors should be aware of regarding an audit response.

つまり②の場合は事例を特定するために強調されていたと思われていた減価償却費の計算方法という具体例が、会計方針の変更という漠然としたテーマの参考例として登場しているだけ、という事です。

今は例題なのでかなり極端な書き方をしましたが、

本番では当たり前のように絶妙なニュアンスを問うてくるような問題文ばかりです。

ちなみに①を意図している場合はAU-C315.27はおそらく不正解です。
②を意図している場合はAU-C315.27はおそらく正解になります。

同じ条文を解答として書いても、問題文が意図するニュアンスを正確に汲み取れたかどうかで結果が分かれる。

恐ろしい話です。

しかも更に恐ろしい事に、このレベルのResearch問題に対応できる教材がありません。
予備校の解説でもここまでの英文読解に特化した例はありません。
(少なくとも2020年8月時点に於いて)


会計の実務経験があろうとなかろうと関係ありません。純粋な英語力の問題になります。
大学受験程度の英語学習しかしてこなかった日本人にとって、一見同じように見える英文の絶妙なニュアンスの違いを汲み取るトレーニングの量は少ないでしょう。


更に更に、この英文のニュアンスの違いを汲み取るトレーニングが出来る英語学習参考書もあるのかないのか分かりません。
(私はないと思っていますが、もしかしたらあるのかもしれません)

この判断を試験本番の環境でしなくてはなりません。


様々な学習サイトや予備校のアナウンスを見て受験当時の情報をまとめると
「Research問題に費やす時間は10分から20分、点数は100点換算でおそらく6~12点分、時間内で解けないなら捨てる必要もあり」とのことでした。

これについては試験問題を作成しているAICPAから正式にアナウンスがあるわけではないと強調しておきますが、

AUDを7回受験した私の感覚でお伝えすると、

Research問題が解けなかった(数字は入れたが自信はない)時は落ちます。

AUDのResearch問題対策

残念ながら洋書も含め、AUDのResearch問題に対する参考書の質も量も足りていないのが現状です。

私は7回目の試験勉強に際して、試験問題を作成しているAICPAのHPにて記載のある全条文を紙面にし、大まかな内容を覚えました。
おかげで7回目の試験時には、自信を持って解答でき、SCORE77で合格出来ました。

AICPAの条文記載があるリンクを参考までに添付しておきます。
https://www.aicpa.org/research/standards/auditattest/clarifiedsas.html

ページ先、少し下に画面をスクロールするといくつか「AU-C」から始まるリンクが複数あります。見たいAU-CをクリックするとPDFが開きます。
私はPDFで閲覧できる全てのAU-Cを紙面にし、学習に使用しました。

この赤字部分をクリックして表示されるPDFを紙面にしてファイリングした資料を作成し、隙間時間に読んで大枠を理解する事に努めました。
こうして見ると結構な厚みですね。

参考までに、上記で例として挙げたAU-C315.27も表示しておきます。

紙面資料作成を推奨する理由

紙面資料を作成して、内容を大まかに覚えておくことで、

英文を読み込み、最も核となるキーワードを理解した段階で、AU-Cのどのあたりを探すべきか範囲を絞り込める。
選択したAU-Cが正しいかどうかを問題文と照合し、正解の確度を高める。

①と②の効果によって時間短縮と正解率を高める事が出来ます。

例えば、監査手続の一環として「経営者確認書(Management Representation Letter)」と呼ばれる手続(もしくは監査証拠)があります。

経営者確認書について述べている条文は「AU-C580」のみです。

なので、もし本番の問題文で「Management Representation Letter」や、「Representation Letter」というキーワードを問うているなと判断した場合、

このキーワードを検索エンジンに入れて検索せずに、データベースの目次にあるAU-C580をクリックした方が、速く正確です。

検索エンジンに「Representation Letter」を入力すると、おそらくAU-C580以外の条文が20件程度は出てきます。

それを1件1件、問題文と照合していくと時間がもったいないですし、解答に迷います。

上記の理由からAU-Cに関する紙面資料の作成を推奨します。

AUDにさくっと合格出来れば必要ないですが、私と同様にAUDに苦しんでいる方やAUDに3回以上落ち続けている方には特におすすめします。

FARとREGのResearch問題対策

基本的に不要かと思います。

FARとREGですが、双方とも計算問題が主軸になります

大卒者向けの資格の対策ページなので、釈迦に説法かと思いますが、
計算問題が登場する試験で最重要なのは計算問題を取りこぼさない事」です。

FARとREGではResearch問題を落としたとしても計算が9割合っていれば合格します。

FARでは計算の基になる仕訳を正しく切れているかが重要です。
REGでの頻出計算問題は、「税務申告書の作成」か「会計利益と税務所得の一致」です。

FARもREGもいわゆる芋づる式です。前半で計算を間違えると後半全て間違えます。
なので受験者同士で差が付きやすく、Research問題でまで差別化する意味が薄いです。

FARとREGではResearch問題に頭を悩ませる前に、計算問題が完璧に仕上がった段階で合格出来ます。
したがってFARとREGに合格出来ない方は、計算問題を解きまくりましょう。

演習回数を増やしたい方へWileyの紹介

模擬試験結果の直撮り写真を当記事前半に貼りました。

その模擬試験はWileyの模擬試験で、自分で別途購入しました。

参考までに、最新版の模擬試験を購入したい方用にリンクを貼っておきます。

1つ目がAUD、2つ目がBEC、3つ目が4科目全てです。
残念ながらFARのみ、REGのみは見つけられませんでした。
見つけ次第添付いたします。

これを購入すると薄い紙の冊子が届きます。

中を開くと、パスワード記載の箇所があるので

別途記載されているURLを入力して、WileyのHPに行き、パスワードを入力すると問題や模擬試験が解けるようになります。

画像黒塗り部分がパスワード記載箇所です。
私の時は英数字16文字でした。

予備校の参考書や模擬試験だけで足りるに越したことはないですが、

私は足りなかったので、上記のように別途購入しました。

私と同じように演習不足に悩まれている方は参考にして下さい。

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