REGの主軸である税法、税法の土台である個人税を見ていきましょう。
税金金額はGross Incomeからスタートし、様々な控除項目を経て算出されたTaxable IncomeにTax rateを掛ける事で計算できます。
Gross Incomeは日本語で総所得と訳されるだけあり、基本的には収入の全てが対象になります。
試験では例外項目であるGross Incomeに含まれない所得と、試験によく出る含まれる所得に分けて確認しましょう。
このページでは含まれる所得について記載しています。
Gross Incomeに含まれる所得
基本的に全ての収入が含まれますが、試験頻出の項目に絞って記載しています。
・事業所得(business income)
・配当所得(dividends income)
・社会保障給付等(social security benefits)
・ストックオプション(stock option)
・賞金(prize and awards)
役務提供の対価(compensation for services)
労働等の対価に対して受領する報酬です。
賃金、給料、賞与、チップ等が該当します。
チップに関しては金額によって認識時期が変わります。
①$20未満の場合は、受領月のGross Incomeに算入する。雇用主への報告義務はありません。
②$20以上の場合は、翌月10日までに雇用主へチップ収入の報告義務が発生し、報告月のGross Incomeに算入する必要があります。
現物報酬を受領した時は、受領日の公正価値を以てGross Incomeに算入します。
雇用者から割引価格で資産を購入した時には、資産の公正価値と購入価格の差額をGross Incomeにh組めます。
雇用者が負担している団体生命保険の保険料で保険金$50,000を超える部分に相当する保険料はGross Incomeに算入する必要があります。
雇用者により支払われた経費精算のうち、適切な手続を経ていない場合や事業経費と言えない場合は支払を受け取った人は自分のGross Incomeに算入する必要があります。
事業所得(business income)
個人事業主、パートナーシップのパートナー、S会社の株主は手元に入ってきた所得をGross Incomeに含める必要があります。
不動産や証券を売却して得た収益を譲渡所得と呼びますが、この譲渡所得もGross Incomeに含めます。
家賃やロイヤリティもGross Incomeに含めます。
特に家賃は試験頻出の論点があります。
①前受家賃は受領した年の所得となる
会計との大きな相違点です。会計では前受家賃は【Dr. cash / Cr. unearned revenue】と【資産 / 負債】の仕訳となり収益認識はありません。
しかし税法では課税所得として扱われます。したがって会計上は利益ではないが、税法上は課税額が増加するという一時差異が発生します。
これはFARの税効果会計でも頻出分野です。しっかりと覚えておきましょう。
②現金受領でも保証金や敷金のように預り金の性格を有する場合は所得ではないので、Gross Incomeには含まれません。
配当所得(dividends income)
株式の配当に関して、郵便で配当を受領する時は株主が郵便で配当金を受領した日の所得としてGross Incomeに算入します。FARの勉強をしていると配当決議の日と考えてしまう人も多いかもしれません。
株主の立場からすると、会社の取締役会の開催日や内容を知る術がありません。したがって株主の所得算入日はあくまでも配当金受領日ということになります。
生命保険によっては加入者が支払った保険料に対して配当金を支払う場合があります。
原則的に生命保険からの配当金はGross Incomeに含まれません。
例外として支払った保険料対応分を超えた配当金はGross Incomeに含まれることになります。
社会保障給付等(social security benefits)
国民年金を想定して頂くと分かりやすいです。
社会保障給付等に登場するキーワードに、Provisional Incomeがあります。
Provisinal Incomeが$25,000以下を低額所得者
Provisional Incomeが$60,000以上を高額所得者
$25,000以下の低額所得者は社会保障給付の全額非課税
$60,000以上の高額所得者は社会保障給付の85%をGross Incomeに算入する
故人が稼いでいて且つ受領していない所得を残して亡くなった場合は、相続人のGross Incomeに算入する。
雇用者から支払われる失業補償は全額Gross Incomeに算入する。
ストックオプション(stock option)
ストックオプションとは一定価格で株式を買う事が出来る「権利」を金融商品化したものです。
権利には諸条件が付されますが、試験では「一定の勤続年数」と「一定の株価(option price)を超える事」という2点が付与されるパターンが多いです。
REGの試験では、報償型ストックオプション(ISO:Incentive Stock Option)と非適格ストックオプション(Nonqualified Stock Option)の2つが出題されます。
報償型ストックオプション(ISO:Incentive Stock Option)
一般的にストックオプションと呼ばれると想定されるケースです。
会社が従業員に対して報酬の一部として付与します。
内容についてはこちらのリンク先で説明していますのでご参照ください。
基本的に付与日、実行日、売却日の3点がポイントとなります。
付与から売却まで2年以上、かつ権利実行か売却まで1年以上の条件に当てはまる場合、利益は全て長期資本利得(long term capital gain)となり、税率が軽くなります。
条件を満たさない場合、権利行使価格と権利実行日の公正価値との差額利益を通常所得(ordinary income)として計上し、権利実行日の公正価値と売却価格(売却日の公正価値)との差額利益を資本利得(capital gain)として計上します。
換言すると、ストックオプションという権利から生まれた利益は通常所得であるという事であり、株式から生まれた利益は資本利得であるという事を意味しています。
条件を満たせばストックオプションという権利から生まれた利益も長期資本利得にしてあげますよ、という制度です。
非適格ストックオプション(Nonqualified Stock Option)
上記で触れた一般的なストックオプション以外が該当します。
ポイントはストックオプションという権利を生む資産の公正価値が認識できる時点で所得も認識するという点です。
適格は所得認識を後回しに出来ますが、非適格は会計上の利益認識と同時に所得をにんしきするという事です。
付与日にストックオプション自体の公正価値を認識できる場合は、付与日に権利行使価格と付与日の株式公正価値との差額を通常所得として認識し、実行日には所得認識をする必要はありません。
株式売却日には、権利付与日の株式公正価値と売却価格(売却日の公正価値)との差額利益を資本利得として計上します。
付与日にストックオプション自体の公正価値を認識できない場合は、付与日に所得認識をする必要はありません。その代わり、権利実行日に、権利行使価格と権利実行日の株式公正価値との差額を通常所得として認識します。
株式売却日には、権利実行日の株式公正価値と売却価格(売却日の公正価値)との差額利益を資本利得として計上します。
賞金(prize and awards)
賞金、賭博収入、宝くじ当選金、横領、違法な収入
これら全て全額をGross Incomeに算入する必要があります。
日本でも大体同じですね。日本と違う点は宝くじ当選金に所得税が発生するという点です。
そのせいかどうか、予備校の問題では宝くじ絡みの出題をよく見ました。
賞金に限り、以下4点を全て満たせば非課税となります。
①受賞者側から働きかけをしなかった、受身である事の証明
②受賞条件に、将来の役務提供が含まれていない
③宗教慈善科学教育芸術文学市民活動に関する受賞である
④賞金が支払側から受賞者に直接支払われている(団体・会社等の何らかの組織を通していない)