この記事を書いている2020年9月、日本では政府の動きが目立ちます。
実際の日本で安倍政権の後に起こりそうな事例(消費税増税)を基に、BECのミクロ経済学の世界に於いてどのような影響があるか見ていきましょう。
ミクロ経済学において、政府の介入は価格と課税です。
価格設定による需給の調整
基本的には民間の成行に任せて需要と供給は決まっていきます。
しかしながら、コロナ禍で日本政府はマスクの転売を禁じたように、民間だけに任せておけない商品や状況が発生すると政府が介入してくることがあります。
ここでは価格と課税のうち、価格を見ていきましょう。
政府は市場均衡点より上か下かに価格を設定します。
政府による上限価格の設定
まずは市場均衡点より下に価格を設定するケースです。
最後に図も表記しますが、おそらく文章解説の方が分かりやすいかと思います。
市場均衡点より下、という事は市場均衡点より価格が高くなることはありません。
つまり政府による上限価格の設定と言えます。
一般的には公営住宅の順番待ちが具体例にあたります。
公営住宅は格安な家賃負担です。政府が市場均衡点より下に上限価格を設定しているから家賃が安いんですね。
いつの世も公営住宅は入居希望者で順番待ちです。
順番待ちの時点でもうお分かりでしょうが、この状況では需要超過、供給不足です。
以下の図の赤丸がそれぞれ上限価格と需要曲線、上限価格と供給曲線の交点です。
価格はどちらも同じ、数量は供給Sが小さく、需要Dが大きくなっています。
政府による最低価格の設定
続いて市場均衡点より上に価格を設定するケースです。
市場均衡点より上、という事は市場均衡点より価格が安くなることはありません。
つまり政府による最低価格の設定と言えます。
例えば特定業種への保護の一環で、民間が生産した財に対して政府が補助金を支出する行動が具体例にあたります。
民間の需要にかかわらず、政府が一定の補助金を出してくれるのですから当然生産者はどんどん財を生産します。
したがって超過供給・需要不足が発生します。
以下の図の赤丸がそれぞれ上限価格と需要曲線、上限価格と供給曲線の交点です。
価格はどちらも同じ、数量は需要Dが小さく、供給Sが大きくなっています。
政府による課税の影響
2つ目のテーマである課税ですが、まずはシンプルに文章で結論を記載します。
まずここでの課税は消費税のように財に係る税の話です。
100円の商品に10%の消費税がかかると、価格は110円になります。
これが供給価格の上昇の具体例です。
そして実際の消費税増税の前後で消費量が変化する事もご理解頂けるかと思います。
増税前の駆け込み消費という言葉からも、増税後は消費が落ちる、すなわち需要数量が減少します。
上記説明を図にすると以下のようになります。
試験に出るポイントは課税の影響によりどれだけ数量が変化するか、という程度の問題です。
価値が高い財は価格変化の影響を受け辛いです。例としては病気治療の製薬が当てはまります。
価値が高くない財は価格変化の影響を受けやすいです。例としてはコンビニのおでん等がどこの系列でも同程度の価格で販売されている事実が当てはまります。
別記事でも解説しますが、このような価格変化に対する数量の影響度合を需要の価格弾力性と呼びます。
弾力性の話を含めた図での解説は以下のようになります。
どちらも①の動きは同じです。
しかし、元々の需要曲線Dの傾きが違うため、元の市場均衡点と新たな市場均衡点の横幅(数量の変化幅)の大きさが違い、弾力性が大きい方が広く、弾力性が小さい方が狭くなっています。
まとめ
ミクロ経済学における政府の介入は
・課税の影響により供給曲線が真上に移動し、均衡数量が減少する。減少幅は需要曲線Dの傾き(=弾力性)によって左右される
簡素ですが、このページでは上記2点を覚えて下さい。
それでは次回の記事でお会いしましょう。
・価格変化の影響を受けやすい財ですと数量は大きく減少します。